INSIGHT LAB

調査結果の n=1情報から “ひと” を浮かび上がらせて示唆を出す 人材業界における強いマーケティング組織をつくる <パーソルキャリア様>

「はたらいて、笑おう。」というグループビジョンを掲げ、業界最大級の登録者数を誇る 転職サービスの「doda」をはじめとする幅広い人材サービスを展開しているパーソルキャリア株式会社。

同社の幅広い人材サービス事業の根幹を担う経営戦略本部の中で、リサーチ・分析・戦略立案を通じて様々な経営課題の解決を担うリサーチアナリティクスグループにデコムの人材育成研修「インサイトフル」を受講いただきました。

今回は、同社におけるインサイトフルの取り組みについて、経営戦略本部 ブランドエクスペリエンス統括部 リサーチアナリティクスグループ マネージャー・米山綾子さんに伺いました。(取材:デコム山坂・文責:土井)

全社的な経営課題や各事業部の課題解決にコミットする マーケティングアナリティクス部門

―――転職サービス「doda」「doda X」を中心に、様々な人材周りのサービスを展開されていますね。人材業界のマーケティングアナリティクス部門とはどのような組織ですか?

米山:以前は、各サービス事業部の中に事業責任者やマーケティング担当がいて、各部門の事業課題を解決していく、事業部に任せるスタイルでした。ですが、デコムのインサイトフル研修の中でも出てきたように、働く環境が大きく変わっているVUCAな時代。個別に事業課題を解決しても会社の大きな成長にはつながりません。

そこで、事業を横断して「人材」の変化を捉え、経営課題・事業課題に結びつく示唆を出せる第三者組織として、2020年夏に経営戦略本部直下にリサーチアナリティクス部門が新設されました。ミッションは、経営課題や事業課題を捉える市場調査を行い、次の方針を見定める有益な示唆を出すことです。

―――コロナにより働き方は劇的に変化しましたよね。以前から予兆を捉えていたんですね。普段はどのような市場調査をされていますか?

米山:定量調査8割、定性調査2割です。事業部の依頼を受けて市場調査を企画することが多いです。CMを制作したいのでターゲットに刺さるインサイトを捉えたい、新規事業を立ち上げたいので筋の良いコンセプトを明らかにしたい等、幅広いです。市場の定点観測調査も行っており、転職者・フリーランス・副業者の意識など「はたらく」にまつわる移り変わりを把握しています。

―――事業部の依頼を受けて市場調査を行う際に、どのようなご苦労がありますか?

米山:市場調査経験が浅い部門の場合、調査の目的や調査で明らかにしたいことが不明瞭なまま依頼が来るケースもあります。ですので、実査前は調査目的や事業部のビジネスゴールのすり合わせの部分に時間を費やします。実査後は、調査結果の分析からどのような示唆を出すのかのアウトプットの部分に時間をかけます。

事業理解度×調査経験がキー。メンバー全員のインサイト発見力を高めるならデコム一択だった

―――インサイトフルを受講しようと思われたきっかけを教えてください。

米山:リサーチアナリティクス部門において、メンバーの経験値に差がありベテランメンバーに頼りきっている状態でした。会社に期待をかけられている部門なので、一人のメンバーに頼りっぱなしは組織バランス上もよくない。組織の成長、会社の貢献のためには、リサーチアナリティクス部門のメンバー全員の基礎力を高める必要がありました。

自分でも、マーケティングに関するウェビナーを受講したり、書籍を読んだりしていましたが、部分部分の知識はついても、理論を実践に移すことができずにいました。

そんな時、マーケティングリサーチ歴が長いベテランメンバーから、「インサイトについて身につけたいならデコムさん」と、おすすめしてもらったのが直接のきっかけです。

―――ご紹介がきっかけとのことで大変うれしく思います。リサーチ結果からの洞察・示唆出しには、リサーチ経験だけでなく、経営や事業への深い理解も必要ですよね。

米山:事業を理解し、社歴が長いメンバーはいます。しかし、調査結果や数字から、どう”ひと”を浮かび上がらせるのか、言葉の裏にある感情を見つけに行くのか、がうまくできない、というのが課題でした。

【導入研修】インサイトフルな人材に必要な11のスキルを皆で学び、基本の知識をアップデート

―――研修は「インサイトフルな人材に必要な11のスキル」について事例を交えて学ぶ座学中心の「導入研修」からスタートしましたが、いかがでしたか。

米山:具体的な事例があり分かりやすく、「なぜ今インサイトが大事なのか」ということが理解できました。また、リサーチの対象を「私達は人材業界だから人材領域をみなきゃ」と思っていましたが、大松さん(※1)に「もっと広く人間を見にいっていいんだよ」と言われて、自らの視野を狭めていたことに気づかされました。
※1  デコム代表 大松孝弘

【実践ワーク】n=1情報の分析~アイディエーションの実践ワークの反復で、脳みそが沸騰した!

―――インサイトフル研修の後半では、n=1の定性情報を読み解く力を何度も繰り返してフィードバックすることでトレーニングをしていきましたが、実際に実践ワークを行ったご感想を教えてください。

米山:率直に言うと、すっごい大変でした(笑) 脳みそ沸騰するんじゃないかと思うくらい、ここ2~3年で一番頭を使いましたね。

米山:まずはじめに、n=1事象情報のカードを見て、情報が少ない!と感じ、最初は戸惑いました。 ですが、導入研修で学んだ「インサイトを構成する4要素」という考え方に倣い、少ない情報から読み解く感覚を習得するのが最初の壁でした。 次の壁は、1枚のn=1事象から出てきた情報を拡散させすぎてしまい、示唆に収束させていくのが難しかったです。ここに一番頭を使いました。

―――実践ワークの中では、 n=1の定性情報から生活背景を読み込み、大事にしている価値観や人には言えない本音を読み解いていっていただきました。洞察のコツはどのように掴んでいきましたか?

米山:実践ワークの中ではデコムの講師の方が、ひとりひとりが取り組んだワークに対してフィードバックをしてくださいます。自分へのアドバイスはもちろんですが、他の受講メンバーが取り組んだワークに対する講師のコメントを聞くことで、自分だったらどうするか、こういう考え方があるのかと、いろんな引き出しを増やすことができました。

―――1on1ではなく、グループフィードバックの手法を用いることで学習効果を高めています。ほかの受講メンバーのフィードバックからも得られるものが多いですよね。

デコムが最新調査結果から更新しているアイデア・企画出しのヒントとなるn=1 新奇事象を集めたメディア「Trend banK(トレンドバンク)」より一例。

「具体と抽象をいったりきたりする」フレームワークで、分断されていたマーケティングの知識が繋がった!

―――3回のワークとフィードバックから、インサイトの分析や定性情報の読み取りを自分のものにできた手ごたえはありましたか?

米山:受講する前は、事業部の方々へ示唆を出すための分析の基礎力は絶対高めたいという強い思いを持っていました。 インサイトフル研修を受ける前から、マーケティング関連のウェビナーや書籍等で勉強していましたが、ポイントは掴めてもアウトプットまでつなげられず、結局どう活用すればいいのか分からない、と悩んでいました。

講師からのフィードバックを聞きながら、あのウェビナーで学んだことがこのパーツなのかも、と理解が進み、ワークに取り組みながらフレームワークの全体像を「上から下から、具体と抽象をいったりきたりする」ことで、ここがこう繋がっているんだ…と学んできたことの「繋がり」を理解することができました。ここまで体系立てられたフレームワークは見たことがなく、すべてが腹落ちした瞬間でした。

普段、マーケティングの勉強を一生懸命している人にこそ、おすすめしたい

―――インサイト研修を終えて2カ月たちましたが、どのような変化がありましたか?

米山:無意識に行っている行動は、その人にとってどんな価値を持っているんだろうと考える習慣がつきました。インサイトを読み解き示唆を出すまでのスキルは、一朝一夕では身につかないと感じています。継続して繰り返し練習して身につけて、今後の定性調査に活かしていきたいです。 また「マーケティング近視眼(※2)」にも通ずる、人材領域に閉じずにいかに広い視点でヒントを取りに行けるか、物事を見られるかという視点は、マーケティングリサーチ業務以外にも役立つ、重要な考え方だと感じています。
※2  企業がその商品のみに着眼してしまい、自らの領域を狭く定義してしまうこと。

―――インサイト分析には、表層的な行動だけでなく、行動の源泉となっているその人も気づいていない価値を洞察することが大切なので、思考法を習慣化できているのは素晴らしいですね。最後に、組織のスキルを底上げしたい・インサイトから示唆を導き出せるようになりたい等、同じように悩まれているマーケターの方へ、メッセージをお願いします。

米山:私のように、マーケティングに関してつまみ勉強している方にこそ受講していただきたいです。n=1の洞察から価値の抽出、インサイトの分析、そこからのアイディエーションに至るまで全部がつながっていることが実感できるフレームワークです。まさに総合版で、そうそうこういうのが欲しかった!と思いました。1度埋めただけでは習得できない歯ごたえのあるフレームワークで、自分のインサイト発見の力を鍛えていくことができます。

―――マーケティングは「誰にどんな価値を届けるか」がすべてですが、そのエッセンスがぎゅっと詰まっているフレームワークですよね。人によって躓くポイントは様々ですが、逆にどこを鍛えればいいかも明確になります。デコムのフレームワークを携えて、ぜひ楽しみながら示唆出し力を実践に活かしていただければと思います。本日はありがとうございました。

 

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